中野ひろまさ

特定秘密保護法について

先日、臨時国会が終了しました。
後は、年末の税・予算の決着に向け頑張って参ります。

臨時国会終盤、特定秘密保護法案が大変にクローズアップをされました。
「なぜこのような法案に賛成するのか、しっかり説明してほしい」「公明党が何をやっているのか分からない」等のご意見も頂きますし、現場でも大変に党員・支持者の皆様にご迷惑をおかけしていることを申し訳なく思っております。
分かりやすい情報を発信して参りたいと思います。
長くなりますが、私の意見を述べたいと思います。

特定秘密保護法については、内容や目的が正確に理解されていないと感じます。
秘密をすぐに他人に言う人は信用ならないし、その人に秘密を教えようとは思わないでしょう。
しかし、日本は国家機密の漏えい事件も多く、そもそも統一した機密管理のルールもありません。
このため、他の先進国から日本は「機密の管理が甘い国」と思われており、機密情報のやり取りがやりにくく、アルジェリアの国際テロで日本人が犠牲になった事件など、情報が取れないために適切な対応が取れなかった事態も生じました。
このようなことを起こさないためには、機密管理のしっかりした制度を作る必要性がある。
これは、自民・公明・民主・維新・みんなの各政党、そして主要各紙ともに賛成しています。
あとは、具体的な制度設計をどうするかです。

特定秘密保護法案は、基本的には「公務員が機密情報を漏らさないようにする法律」です。
法律の主な内容は、
1.特定秘密の指定(防衛・外交・スパイ防止・テロ防止に関し必要な機密情報を指定、第3条)
2.特定秘密を取り扱う職員の範囲を指定(第5条)
3.特定秘密を取り扱う職員の適正評価の実施(第12条・第15条)
4.特定秘密を漏らした際の罰則(修正23条)
です。

とはいえ、国家機密を守るという本法案は、知る権利とのバランスが極めて難しい、非常に注意が必要な法案です。
政府の当初案には、「特定秘密を知ろうとした者も処罰」という条文があり、マスコミの皆さんを中心に、大変強い反対がありました。

制度設計に当たっては、
1.特定秘密の指定が恣意的に行われないようにする
2.国民の知る権利、取材の自由を十分に確保する
3.情報公開の仕組みを制度的に担保する
という3点が重要であり、公明党は13回の検討PTを開催し、新聞、テレビ局、学者、法曹界含め多くの皆様にご意見を伺いました。
当初の案にはこうした点の配慮がなく、非常に問題があると我が党は強く意見を申し上げました。

結果として、
・特定秘密の指定基準を第三者機関の意見を聴いて制定(第18条)
・知る権利の配慮・マスコミによる取材は罰則の対象外(第21条、修正後は22条)
が条文として加わりました。
情報公開については、情報公開法の運用も含めて議論ということになっていましたが、野党との修正協議を通じ
・特定秘密は原則30年で公開(修正第4条)
という点が担保されました。

私は、公明党の修正がなければ、本法案は知る権利とのバランスを強く逸するものになったと思います。

なぜ強行採決したのか、というご意見もありますが、本法案は野党であるみんなの党、日本維新の会とも修正協議して内容に合意しています。
法案の必要性を頭から認めない党とは、意見の折り合いが難しいとしても、あとは反対する野党は民主党のみ。
しかし、民主党は修正案の提出も遅く、私は引き伸ばし戦術を取るのではないか、とも思っておりました。
その意味では、強行採決以外の手段はなかったように思います。

今回の法案は、マスコミによっても意見が大きく異なる法案ではありますが、「治安維持法の再来」「戦前へ戻る」等、中身を伝えないまま危機感を煽る手法には強い違和感を感じます。
法律の必要性、法案の危険性、バランスのとり方の難しさ、正確に国民の皆様に論点を伝えて頂きたいと思います。
PKO法の時も、「海外に自衛隊を出すと戦争になる」と大きく煽った人たちがいますが、顔の見える国際貢献として、今や他国から感謝されているではありませんか。

最後になりますが、「本法案によって、多くの秘密指定が恣意的になされ、国民に知らされなくなる」との意見があります。
現行制度でも、特定管理秘密、防衛秘密、特別防衛秘密など41万件の機密情報があり、公開のあり方も含め各省がそれぞれのルールで運用しています。(ちなみに機密の内容は、9割が衛星写真、そして残り1割も、多くは暗号です。)
本法案により統一的なルールができ、件数の国会報告や期間延長の際の閣議報告など、運用の透明性は従来よりも増していると思います。

行政府は(特定秘密かどうかに関わらず、通常の情報でさえも)常に不都合な情報を隠そうとするのが常です。権力を監視する姿勢を常に国会議員が持ち続けることが必要であり、私もこの事をしっかりと肝に命じて頑張って参ります。

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